ダージリンと黒糖クッキー


今日、11月1日は紅茶の日。
日本紅茶協会が定めたその由来とは、1791年ロシアに漂着した伊勢国(三重県)の船頭
大黒屋光太夫が皇帝エカチェリーナ2世に謁見した際、
日本人として初めて紅茶を飲んだことに遡るそうです。

そこで今日はダージリンを淹れて、自家製の黒糖クッキーと共に、
お茶の時間を過ごしております。

そもそも大黒屋光太夫は伊勢から江戸を目指していた処、嵐に遭って
アラスカまで流されてしまい、常駐していたロシア商人と共にロシアへ渡り、
10年ほどなんだかんだありつつも、最後は皇帝エカチェリーナ2世に帰国したい旨を申し出て
念願かなったとか。

数奇な運命の影に紅茶あり、と考えるとなんだか壮大な歴史に想いを馳せたくなります。
いや、もっとインドやアメリカなどとイギリスの関係もありますが、
日本における紅茶の日なので、ロシアとの関係を考えることに。

そんな紅茶の日に、ロシア大統領が北方領土の国後島を訪問した、
と云うのはなんだか因縁めいたものを感じてしまいます。

さて、私の話ですが、90年に初めてイギリスに旅行した際は、
Fortnum & Mason のFifth Floor Cafeでこれまた初めてのアフタヌーンティーを体験し、
圧倒的なティーフードの量に目を白黒させた思い出があります。

しかし、紅茶と初めてきちんと向き合ったのは、1991年ごろのことでした。
これは時々このサイトの何処かでも書いていますが、改めて。
当時広島に住んでいて、ある時中通の一本外側あたりの2階へ通じる紅茶のお店に
ふらっと一人で入ってみたのです。

何やら優雅なマダムが接客してくださり、店内もエレガントな雰囲気が漂っていました。
紅茶の茶葉の種類も何が何だか判らないまま、メニューを一生懸命読んでいると
聞き覚えのあるダージリンと云う言葉を見つけ、オーダーしました。

すると「この紅茶はちょっときついから、ご一緒にビスケットをどうぞ」と
2,3枚のビスケットが乗った小皿も添えて出されたのです。
なんと云う配慮。

ただ紅茶を飲むと云うだけでなく、この紅茶を美味しく味わうためにできることが
色々とあるのだなと開眼したのでした。
その他のことははっきり覚えていないのですが、恐らくティーストレナーや
ティーコージーなんかもあったのでしょうねえ。

既にそのお店はありませんが、そのマダムはどういう経緯で素敵な紅茶の世界を
知ったのかなど聴いてみたいことが今でもたくさんあります。

その後、東京でブルックボンド(現リプトン)が開催している紅茶教室に通い、
ティーコーディネーターのディプロマを頂くまで学んだことで、
ますます紅茶は日常に寛ぎを与えてくれる大切な飲み物となりました。

それから10年以上経ち、だいぶ紅茶にまつわるいろいろは一般的になってきたかなと思いきや、
まだまだ知られていない事柄もたくさんあるなと実感する場面も多々あります。

パンも野菜果物と同様に、紅茶の美味しさ楽しさも伝えていけたらな、と思っています。
そんな思い出のダージリンなのでした。