2007年 岡山篇:牛窓観光、福岡屋旅館

道の駅一本松展望園

配偶者が小さい頃に、家族で時々遊びに行ったらしい、「日本のエーゲ海」牛窓に魚を食べに行こうと誘われ、初めて聞く地名に興味津々で楽しみにしていました。
義母の車を借りて、二人で小旅行です。

ぽかぽかと暖かく、天気も素晴らしく、絶好のドライブ日和です。
岡山ブルーラインを走っていて、一休み。
瀬戸内海を見下ろして、爽快な気分。
彼は、大山の濃厚な牛乳、私はイチジク入りのバニラアイスで、ちょいと休憩。

展望台には、お弁当を広げる家族連れがそこかしこに居て、こんな気持ちのよい景色を眺めながらのごはんは、更に美味しいだろうなあ。
ミニSL広場があったりして、小さいお子さんの居るご家族連れに持って来いの道の駅です。

この岡山ブルーライン、高速道路かと思いきや、なんと無料の道路。以前はブルーハイウェイと云う名称だったのが、無料化されてブルーラインと変わったのだそうです。なのでそんなにスピードを出してはいけないみたい?

夢二郷土美術館 分館(岡山県瀬戸内市)

入館料500円。
竹久夢二が生まれて16歳まで過ごした家が、美術館として公開されています。
250年前の日本家屋が、かやぶきもそのままに残されているのがすごいです。
夢二ゆかりのスポットがこの周りにはあり、散策コースとなっているのでお時間と興味がある方にはお勧めです。

生家のチケットにはアトリエ兼住居の「少年山荘」も見学できます。
住居部分のダイニングテーブルと椅子のセットの、堅牢な感じがいいなあ。
デッキも素敵。
大正浪漫の作品にふさわしく瀟洒な建物です。
もともと東京にあった、自ら設計したものを復元したのだとか。

初めて夢二の生涯を年表と写真で追いましたが、なかなか女性遍歴を重ねてたんですねえ。
ずっと一人の女性がモデルなのかと思ってました。今頃知りましたよ。

牛窓秋祭り

10月の第4日曜は、牛窓秋祭りの日だそうです。
ぜんぜん知らずに旅館を予約していました。
牛窓に入ると、急に車が渋滞・・なんとこの列の先頭で、だんじりが車道を通っているではありませんか。
おおー、祭りって感じ。

旅館に入り、荷物と車を置かせて貰うと、女将さんに「すぐそこのファミリーマートにだんじりが2時に集まるらしいですよ」と教えて頂き、少し時間が合ったので海沿いに出たりしてぶらぶらとしてファミマの駐車場を目指しました。

既に2基のだんじりがいて、3基目が入ってくる処で、なかなか賑やかで。
と、一層賑やかな男衆がお神輿を担いでやってきました。
きゃー。駐車場から出ようとするベンツも「どけや~っ」って勢いで蹴っ飛ばしてるっ。すごいっ。

ファミマの駐車場に入り、一周その場で回って、また何処かへ練り歩いて行きました。
こんな風に町中にだんじりや神輿が巡回するようです。

圧倒されつつ、ファミマに入り、変わったものがあるかしら~とあれこれ見ていたら、急に祈祷のような声が。
どちらかの神主さんが、店長さんに商売繁盛の祈願をしているのです。最後にびしっと腰を叩かれて終わり。
祭り、油断できません。
そうこうする内、ひときわ派手なだんじりがやってきました。
龍の頭がついてますよ。
手が込んでるなあと思ったら、理由がありました。
それは後ほど。
圧倒的にこの龍のだんじりで記念撮影する人が多かったです。

祭りは町中で行われていて、唐子踊りを見たかったなあと後で思いました。
町のサイズとか、祭りの規模感とかが掴めていなかったから、また機会があれば、唐子踊り優先で。

お茶「UOUO」(岡山:瀬戸内市牛窓)

紫芋のあんみつ450円。
ファミマのすぐ海側にあるこちらのお店で、おやつでも。
朝、起きたのも家を出たのも遅かったため、お昼ごはんを抜いていました。かといって、今ランチする訳にはいかない!お魚たっぷり晩ごはんが待ってます。

で、こちらの紫芋が添えられたあんみつをオーダー。
450円でこのボリューム。向こう側には粒あんがかなりこんもりと入ってますし、底には寒天がごろごろ。お茶の時間ですが、ランチに相当しました。
お冷にはミントが入ってました。可愛いな。
牛窓野菜の具沢山カレー850円。

配偶者は、ランチを抜いてもいいが、かといって甘いものは食べたくない、とのことで地元の野菜たっぷりのカレーを選択。
古代米を使ってます。
野菜は半分私も食べました。ふー満腹。

ぼーっとしながら、フェリーが行ったり来たりするのや、穏やかな海を眺めて過ごしました。

牛窓散策

彼はフェリーに乗って前島に行きたそうでしたが、私は何となく行って帰ってくる時間が不安でした。
まずは、しおまち唐琴通りをぶらぶら。
これまた懐かしい昭和の香りたっぷりの古い町並みに心惹かれ、通りの看板の説明などを読んでいたら、祭りの打ち上げをしているらしい集会所っぽい処の前だったせいか、法被を脱いだおじさんが通りかかり、「あそこで、説明のビデオが見られるよ」と教えてくれました。

写真を撮り忘れたのですが、レンガ質タイルで覆われた重厚ながらも洒落た洋館がすぐ近くにあり、街角ミュゼ牛窓文化館と書かれていました。旧中国銀行牛窓支店で、現在は国登録文化財に指定されています。入場は無料です。

中は総吹き抜けで、焼き板と白壁のコントラストが美しい空間になっていて、キャットウォークも設えてあります。
フロアでは、牛窓のことがよく判るように掲示物や、ビデオが用意されていました。

まず掲示物を見ていたら、だんじりの龍頭仕立てになっている理由が判りましたよ。
このだんじりを所有している地区は、関町で、昔かなり裕福な人々が住んでいたそうで、だんじりにもかなりお金をかけられたのですよ。おおー。富の象徴でもあったわけですね。

またTVとビデオデッキの電源を入れると、おもむろに上映されるのは、恐らくNHKか何かの番組で、森本レオが牛窓の歴史を紹介する内容でした。
唐子踊りの様子を見て、「おおっこれ見たかったなー」と思った訳です。

そもそもこの牛窓が栄えたのは、江戸時代に朝鮮通信使を12回も大阪へ招いた際に、牛窓にも寄港し、みんなが大歓迎したり、参勤交代の寄港場所でもあったりで、海上交通の要所だったから。港町は、他の土地の文化が入ってくるし、賑やかだし、ハイカラになります。
海遊文化館は今回入りませんでしたが、この建物ももとは警察署だったという洋館ですしねえ。
ぶらぶらしている内に頃合がよくなってきたので、フェリー乗り場の辺りで腰をかけて、牛窓町フェリー乗り場から日本の夕日百選の夕日を眺めます。

まだ、太陽に白さが残ってます。
あっという間に、沈んでいきます。
小型船舶が次から次へと戻ってきます。
自家用?

ゆったりと穏やかな港なのは、一文字波止場が静かに波を防ぎ続けているから。
瀬戸内海はもともと穏やかなんだろうけど、万全を期して、朝鮮通信使の無事を図ったのですね。

福岡屋旅館(岡山県瀬戸内市牛窓)

一泊二食で、トイレ・洗面所付のお部屋で9,450円。
福岡屋旅館のサイトから予約しました。

2004年に改装したばかりだとかで、とても綺麗で心地よい部屋です。
クローゼットではなくて、衣桁(いこう)って処が和風旅館的できゅんとします。
洗面所とトイレが付いてると、何となく安心。
トイレには人感センサーがついてるらしく、じーっとしてると、ふわっと灯りが消えるので最初は驚きました。
動きましょう(笑)
まずはお茶とお菓子で一服。

そして1階の広いお風呂で、午後の観光の疲れを癒します・・・って、歩くには歩いたけど、のんびりした時間が多かったので、大して疲れませんでした。
しかしながら、我が家の狭いユニットバスとは大違い、広い浴槽で手足を伸ばすと心底寛ぎますなあ。

1枚しか使いませんが、棚にはバスタオルがたっぷり用意されていて、これがなんとも家庭的な雰囲気なのです。

夕食

晩ごはんの部屋に入り、二人ともテンションが上がります。わーい。
舟盛を追加しました。カレイ。新鮮で美味しい。
ままかりの南蛮漬けや、メバルの煮付け、野菜の煮物も上品だし、どれもこれもとても美味しい。
野菜は自家菜園とのこと。

ワタリガニにも思いがけず巡り会い、思わず無口になり集中しました。
彼は瓶ビール、私は珍しく冷酒を。
地酒の清酒「千寿」吟醸生酒はフルーティで、思わず進みました。
途中で運ばれてくるフライやてんぷらも、冷酒でさっぱりと頂けます。
抹茶塩もいい。お刺身もちょいとつけてみたりしました。これもいい!

数日前から彼が「カキフライカキフライ」とうなされていたので、今年初のカキフライをひとまず食べることが出来てよかったです。
ミニ鍋に入ってるお魚も美味しい。

そうそう、お料理頂く前に、女将さんが記念撮影をデジカメで撮ってくれました。
しばらくお料理を楽しんでると、なんと!
その記念写真入りのカレンダーを作って持ってきてくれたのですよ。ありがとうございます。
ブログもムーバブルタイプに最近変えてみた、なんて話をしてらっしゃる4代目女将さん、ものすごくIT化進んでます。 かっこいいなあ。
わ・・私も頑張ろう。
食事も〆の段階に。
ひさびさに「飲む人」の食事の仕方をしてるなあ。美味しいお刺身があると、何となくごはんよりも日本酒と一緒に頂きたくなります。飲めないなりに組み合わせを楽しめる範囲があるのは嬉しい。

で、このお吸い物でノックアウトです。
魚の出汁が濃厚で、締めくくりにふさわしくとてもさっぱりします。
ほう・・・幸せです。

朝食

早起きできたら、朝日見に海岸線まで行こうか、なんて話してましたが、その時分は起きたものの部屋の窓を開けて、「朝日朝日」と不精をしてごろごろ。

あれだけ食べたのに、不思議と朝ごはん時にはリセットされています。
野菜サラダもあったりして、バランスよい大好きな感じの朝ごはん。
スクランブルエッグの甘さがなんとも優しい家庭の味って感じで、二人とも懐かしい気持ちに浸っておりました。
ごはん・・思わずお替わりをよそってしまいました・・・!

お漬物や梅干が昨夜もそうですが、とても美味しかったです。
なんとご主人が全て漬けてるのだとか。
いい感じの二人三脚なんだなあ。
食後にはコーヒーがついていました。
一口サイズのチョコレートも嬉しい。

全てにおいて居心地がよく、私たちとの相性がよかったんだろうなあと思います。
そもそもどうしてこちらを選んだかと云うと、ずばり屋号です(笑)
福岡出身の私だから、福岡出身の初代女将さんにちなんでつけられた「福岡屋」さんに泊まってみたくなるのは道理であります。
サイトも綺麗に作られてたから、インターネット派の私たち夫婦はそこに好感も持つ訳でして。

ロビーには、有名人の色紙および記念写真がたくさん飾られていました。そうそうたる方々がこちらに宿泊されたのですねえ。

お茶「牛転(うしまろび)」(岡山県瀬戸内市牛窓)

レモンスカッシュと、アイスカフェオレ 合わせて700円くらいだったかな。

昭和10年建築の旧牛窓郵便局を改装した、ギャラリー喫茶店です。
地元の方の憩いの場にもなっていて、先客の馴染みの奥さんは、半ば私たちを接客するように話し掛けて下さいます。
勿論、女主人さんも牛窓のことを教えて下さり、とても温かい気持ちになると同時に、「牛窓奥が深い!」と再発見ですよ。

この辺りは本当にお金持ちの人が多く、遊覧船を飛ばす娯楽の需要があったくらいだそう。一回の遊覧には家が1軒建てられるくらいの費用がかかったんだとか。でも需要があったというから、その裕福振りが偲ばれます。

今では人口の流出は激しく、お年寄りばかりになってしまい、特に平日なんて静かなんだとか。確かに前夜、メインストリートに面してる旅館の窓から外を見てみたのですが、静寂そのものでした。
まただんじりに乗るのも、かつては男児に限られていたそうですが、今はそうも云ってられず、女児も乗ってよいことになったのだとか。

喫茶店の名前は、牛窓の地名の由来の逸話によるものです。

この牛窓には派手な観光地にはなって欲しくはないのですが、寂れていくのも勿体無いことだなあ。
すっかりこの地が気に入ったので、移住は無理ですが、勝手に応援することにしよう。
まずはカンゾー先生も観よう。

そういえば旅館の女将さんが教えてくれたのですが、近郊の港町にお住まいの方がわざわざ魚を食べに牛窓に来られるのださそう

ミティリニ広場

福岡屋旅館を後にして、帰りにはオリーブロードを通り、こちらの小高い場所の見晴らしのよいミティリニ広場で、しばし牛窓に名残を。

エーゲ海になぞらえているほど温暖な地域、オリーブ園だけでなく町のそこかしこにオリーブの木があり、オリーブ製品の土産物も多数見かけました。
ギリシャのミティリニ市と友好都市になった15周年記念に作られたこの広場は、是非、素晴らしい景色を眺める価値ありです。

再び岡山ブルーラインを通り、今度は黒井山グリーンパークと云う道の駅で休憩。
漁協が提供する売店・・・ワタリガニがとてもお安く売られていて、とても惹かれました。晩ごはんが決まってる見通しだったとはいえ、やっぱり買って帰るべきだったかもね!?
JAの売店では、この辺りで採れた早生みかんを買いました。
かぼちゃの品種が豊富で、本でしか見たことのないものばかりが、実在といったら変ですが、現実にこうしてとりどり揃えて売られているのに感動しました。
これらも思い切って買ってくればよかったかなあ。どうせ自宅には荷物送ったんだしねえ。

中光商店のお土産で昼食

地元の特別栽培野菜や、瀬戸内の新鮮な魚を使って作った揚げ天というかさつま揚げと云うか、その数々に、前日から心奪われておりました。
9時の開店まもなく、お邪魔して二人で感動しながら、あれこれ味見してたら、ご主人が「熱くてまだ味が美味しいか判らんけど」とキャベツとちりめんじゃこのボール天を持ってきてくれました。はふはふ、美味しいいっすよ。
魚の風味がしっかりと感じられます。
出来ることなら全種類買って帰りたい。またいつか来よう。
午後所用があるし、朝ごはんもしっかり頂いたため、外でのランチはやめて義実家へ帰宅。
煮物の残りを温め、買ってきた揚げ天もオーブントースターで温め。

これは、手前が赤飯の天ぷら、奥がおにぎりの天ぷら。
もっちりして癖になります。
色んなものを揚げ天にしてしまう処、ご主人にシンパシー感じずに入られません。

そんなこんなで、すっかり牛窓が気に入った次第です。