2000年 イギリス篇 Cheltenham, Tami’s home, my room

イレブンジズ

リアルな過去の夢を見、朝ゴハンを食べ、荷物の最終的な整理をしました。
各観光スポットのパンフレットはつもり積もって意外に重く、スーツケースが既にずっしりと・・・。
バスセンターまでのタクシーを待つ間、アイシングをかけたバタースコッチケーキとお茶を頂きました。Sueと最後のイレブンジズ。
LondonでV&Aでひねもす過ごす日を作るのだと云ったら「それは時間の無駄、他にも見るべき博物館はたくさんあるのだからやめなさい。夜はコンサートに行くべきです。」とのアドバイス。自分の行動に指図されるのがとても厭だなあと、まるで母と居る息苦しさを覚えてしまい、途中でファミリーを替えるプランにしておいて私の場合は良かった、と感じました。
Sueは教師としては優れた女性だとは思います。
でも人との相性って、特にこういう異国の地では重要かもしれない。

Taxiが来て、いよいよお別れ、と云う時には親身に「身体に気をつけて。そして貴女の好きな英国を楽しんで」とhug。
感謝しながらも、どこと無くほっとしてしまい・・・。

Coachにて

12時10分、スーツケースを預け、チケットを出し、333番のコーチに乗ると既に殆どのシートには人が座っていました。
何処に座ろう?ときょろきょろしていると、人懐こそうなおじいさんが「此処、座んなさい」と手招き。お言葉に甘え腰をおろし、期待と不安で物凄くドキドキしてしばらく硬くなっていました。
「旅行かね?」とおじいさんが話し掛けてくれて会話が始まりました。おじいさんの英語はちょっと謡うような、独特の訛があってスムーズには聞き取れないのですが、聞き直しても良い雰囲気で気が楽に話せました。
「わしはな、Wiltshire州のMereってとこに住んでいて、Cheshire州のMarpleってとこの妹に会いに行くのさ。いいかね?朝早くこのコーチに乗って10数時間かけてだね」「長旅ですねぇ。でも楽しみな旅ですよね?」「そりゃあ、勿論だよ」
途中、Bristolでお昼休憩。おじいさんはタッパーに入った簡単なサンドウィッチと青くて小さい林檎とチョコバーとオレンジジュースのお弁当を。私はそういう時間があるとは知らなかったので、とりあえずコーチを下りてバスセンターをぶらつき、チョコバーと紅茶でブレイク。
コーチで再び北へ向かい、おじいさんとお話を。Cheltenhamに近づくにつれて、すごく不安でドキドキしてきたのですがおじいさんに励まされ、私もおじいさんの旅の安全を祈り、コーチを下りました。

コーチステーションの公衆電話からマザーの家へ電話をかけると明るく聞き取りやすい声で、「Norikoね?今から行くわ!」と。
スーツケースに腰掛けて待つこと数分。鮮やかな青い色の車でマザーのTamiはやってきました。
挨拶をし、車に乗り込みます。家までの間、彼女は「私は今日、実は調子が悪いの。昨日、チャリティダンスパーティで3時まで飲んで踊ってたから・・・ごめんなさいね。私は日本にはとても興味があるのよ。私の父はヨガをやっていて、そのお蔭で亡くなるときも肺の機能は衰えず、内臓だけで3日生きてたのよ」とお喋りを。

1820年に建てられた赤レンガのおうちへ。此処でのインテリアにとても影響を受けたのです!

Tami’s home

玄関のドアを入ってすぐ、なんと靴を脱ぎます。そのせいか家にいるときはとてもリラックスできました。

左は裸足でぺたぺた2Fに上がった踊り場。
壁に埋め込まれた棚には美しいチャイナのカップ&ソーサーが。
枝の形の面白い鉢植えも素敵なアクセントに。
リビングルーム。もっぱら夜TVを見たりお喋りをしたりしました。この部屋のインテリアはその後私の一人暮らしをするにあたりとても影響を受けました。なんと云ってもPine furniture!
一生飽きのこないシンプルで使い込むほどに風合いの滲み出てくる楽しみもある、この家具たちに惚れました。部屋全体の色数も押さえてあり、明るくて落ち着くので大好きでした。
上の写真の白いソファのすぐ後ろにある机、左奥にはMACが。壁際の棚にはTeddy Bearのコレクションが。ある時Tamiが「これはコレクション用、これはそうでもないわ」と棚の中を解説してくれました。
彼女はグラフィックデザイナと云う職業も持っていたのでした。
上の写真から少し右の角度を。
左奥のドアが階段やbath roomの方へ行くドア。ドアのすぐそばのスタンドはデザインがとても変わっていて、夜にその灯りがつくのが楽しみでした。窓からは中庭が見下ろせます。
更に右を向いた角度で。左側に映ってるソファが私のソファでした。中央の低いテーブルにはNEXTのカタログがあったり、ELLEやMarie Claireなどの女性誌が積み上げられ、女の園状態でした。
ドアの向うが、私の部屋。
さあご案内しましょう!

My Room

一人がけソファと、本棚。かつての日本人留学生達が置いていった本らしい。
角にはワイヤーの整理棚があり、衣類を全部此処に収めました。
上のほうにはパイプがつるしてあって、ハンガーを使ってかけることも出来ました。
ツインルームだけどシングルユースで。
ベッドメイキングもきちんとしてあり、寝心地も抜群でした。枕もとのナイトスタンドには時計とラベンダのサシェとクタクタスヌーピーを置いて。
窓際にあるのが私の黄色いスーツケース。会うときの目印として「黄色いスーツケース持ってます」って数日前に云ってたのだけど、それでベッドカバーの色をあわせてくれたのかどうかは聞かなかったから判らない。
でも、色使いにとても気を使うTamiだから、ひょっとして?と云う気持ちはあります。
左に映ってるのが籐の椅子、ドレッサーがある処です。愚かなことにその写真を忘れてる!そして勉強机の辺りの写真も撮り忘れてる!あ~何たること。私の記憶の中にしかない・・・。
上の写真の窓から見えるお隣さん。増築工事中で、滞在した一週間の間にどんどん出来上がって行きました。
赤レンガの下はブロックなんだ・・・と構造が見れて面白かったです。
工事の音はうるさくて酷かったけど。
2Fのbath room。バスタブにシャワーに、パイン材のタオルかけ。Bootsの体重計。肌触りの良いタオル。ずらりと並んだシャンプーやリンスたち。女の人の生活と云った感じで、何だかほっとする。
ブラインドとバスタブと腰壁風のタイルの色が深い赤で一緒なのも見事でした。
4畳半はゆうにある広々として寛げるbath roomでした。
椅子に着替えなどを置いて使います。
壁の四角いのは一人娘のBrookeの幼い頃の愛らしい写真。
他の壁には小さな貝殻が絶妙なバランスでくっつけられていました。
ダイニングルーム。ここもパイン材で統一されていて、ブルーのペイントの壁と好対照を成していました。
素敵な食器がたくさん入っていて、この中のものも色々と説明してくれました。

左奥がキッチンです。これもとり忘れていて悔しいのですが、突き当たりに見える飾り棚にも素晴らしいカップ&ソーサーのアンティークが並んでいたのです。
キッチン。当然此処もパイン材で統一。テーブルも。椅子はグリーンのペイントが。ゴハンもレッスンも全部此処で。
この壁も隣のブルーの壁と共にTamiが15年位前に自分でペイントしたもの。自ら好きな空間を作り上げる英国の暮らしぶりがとても素敵でした。家具類は全部usedだから余計に魅力的。
オーブンレンジの右のラジカセからは、BBCのラジオ放送が流れていて、「あ、この曲良いね!」とかレッスンの為にニュースをヒアリングしたりとか大活躍でした。
奥の白いのが冷蔵庫、その右側がビルトインのオーブンで二つもありました。その更に右側は洗濯機。
シンクでは洗剤の泡がぶくぶくたっていて、お皿などをゴシゴシこすった後は、そのまま(!!!)ラックにかけて乾かします。英国的食器洗いの話はリンボウ先生のエッセイでも知っていましたが、実際に目の当たりにすると衝撃的です。でも郷に入れば郷に従えですし、特に健康に支障もきたさなかったのでOK!

お茶

荷物を置いて落ち着いたらキッチンテーブルでオリエンテーション。
大ぶりの丸みのあるカップ&ソーサーにミルクティをたっぷりと入れてくれました。
自己紹介の時に×1だと話したら「あら!私もよ!まだ別れて3ヶ月しかたってないのよ私の場合」と妙に話があってしまい笑ってしまいました。そして、予め何に興味があるかは伝えてあったのですが、改めて私の好きなことを説明しました。それを聞き、Tamiは1週間の予定をあれこれアレンジしてくれました。
Sueの処ではこういった具体的な日程表は立てなかったのですが、Tamiは一週間分の特にイベント部分を提案して書き入れました。「勿論、お天気によって入れ替わるからね」
何だかとてもワクワク。

「私は英国の実際の暮らしに興味がとてもあって、インテリアとかゴハンとか写真に撮りたいのだけどいいでしょうか?」「勿論、大歓迎よ。私は自分のインテリアや庭がとても好きだし、自慢に思ってるの。どんどん撮って頂戴」
そして、もう一人homestayしている学生がいて、アフリカのリビアから来たMalek、彼は半年の滞在だそう。女性達の部屋は2Fで彼の部屋は1F。

夕食

初日のゴハンは写真に撮り忘れてしまい。バジルは庭のから摘んだもの。ピッツアは冷凍食品なのだけど、オーブンの火力も素晴らしいせいかかりっとしていて美味しい。
水は必ず浄水ポットで濾過して冷やしておいたものを。(紅茶もそうでした)
何より気に入ったのが、この色彩の美しさでした。レタスの若々しい緑、トマトとバジルの深く鮮やかなコントラスト、そしてコーンとチーズの黄色。3色がプレートの中でそれぞれ引き立てあっていました。

Sueの家では夕食の後にお休みを云い、お風呂に入ったりのプライベートな時間には一切立ち入らない感じでした。
Tamiの処では、私の部屋とbath roomの間に家族団欒の部屋があるのでほんとに家族同然な振る舞い。
お風呂上りにも顔を合わせるのだと知った時に「私の顔が別の顔になっているから、気がつかないかも」ってTamiに云ったら「判ったわ、貴女がスッカリ変わってしまっても心の準備をしておくわ」と笑って。「でも私も今日は素っぴんだから気にしないでね」果たしてお風呂上りに「こんな感じ~」と現れたら「なんだ~全然変わんないじゃない、平気よ!」

部屋の本棚に何故か「ガラスの仮面」38巻があり、この夜、思わず一気に読んでしまいました。月影先生の「魂の片割れ」との馴れ初めを此処で知ってしまうなんて・・・。妙に満足して就寝。